【⠀彼氏が出来ました。】
文字を追う事は出来たけれど
意味を理解するのに時間がかかった。
何ができて何ができなかったんでしたっけ?
あの人部屋の前に着いてから
道中の記憶がない事に気付いた。
歩いてきたのか走ってきたのか
関係無しに胸が締め付けられる。
人当たりが良さそうな男性に
丁寧に挨拶をされた。
まともに返せていただろうか。
ずっとニコニコ笑っていた。
せめてロクでもない男だったらと
最低な事を考えている自分がいた。
けれど彼は私が好きになった
あの人が選んだ男だった。それだけだった。
私は選ばれなかったそれだけ。
気づいたら夜になっていて、自分の部屋にいた。何故か泣いていた。