病名 恋煩い

いらなくなって捨てた傘

卒業式

たった3年間というには長すぎる、日常が今日終わるそれだけの事だ。

 

クラスの中心人物のように特に表立った用な事はしてこなかった。

 一緒に放課後遊びに行くだとか、写真を残すような間柄の友達もいなかった。

文化祭は参加してこなかった、孤独を感じるのがいやだったから。

 

入学式に生まれた小さな恋のつぼみは、他の花に栄養を奪われ瞬く間にしぼんでいった。


私はずっとずっと誰かの後ろにしか立てなくて。

主人公ではなく脇役にしかなれなかった、生徒Aどころか生徒Bの毎日だった。

 


成績は特に悪くはなかった、だからといって良かったわけでもない。

部活には所属していたけれど、居心地が悪く数週間で行くのはやめた。

 


思い出を語るような友達も出来なかった。

勉学に勤しみ競い合うライバルもできなかった。

好きな人の返信に一喜一憂する、そんな歯が浮くような恋愛もできなかった。

 


学生 そんな付加価値で彩られていた日常が今日、終わる。

 


私にはそんな日常の終わりを一緒に悲しむ友達がいただろうか。

心を通わせられる教師がいただろうか。

いつも自分を大切にしてくれる人がいたのだろうか

あの騒がしいクラスが好きだったのだろうか。

 

 

 

 


わからない

 


ただ

 

 

 

涙が流れて落ちるのは、それなりの重さがあるからだ